no.208 MVP 輪刑冲を ものともせず
MVP 輪刑冲(りんけいちゅう)を ものともせず
この世相川柳で取り上げる著名人には、その年の干支が絡んでいることが多くあります。それは推命理論からして、巡る星によって運気の上がり下がりが起き、当然と云えます。そして今年の「乙巳」では、「寅巳申の輪刑冲」がその主役です。寅は巳を刑害し、巳は申を刑し、申は寅を冲するという形です。これは「勢いを恃(たの)む刑」と呼ばれ、物事を強引に押し通し、その結果、災いを招き、思わぬ事態を招いてしまう傾向にある、というものです。しかし実例を見ていますと、必ずしも凶災に至っていないケースもあります。今回のそのケースが、大リーグのワールドシリーズを制し、MVPに輝いたドジャースの山本由伸選手です。年柱「戊寅」、月柱「庚申」、日柱「丙申」ですので、「申寅の冲」を命式内に2つ持っていて、今年の「巳」が巡ればまさに「輪刑冲」です。ただこの輪刑冲をものともしないのが今年の山本選手です。昨年と今年が大運(10年運)の替わり目に当たり、昨年ドジャースに移籍し、環境の大きな変化を迎えました。今年は新しい大運「正官/偏官」巡りの初年度です。月支元命と日支はともに「偏官」です。そして巡る歳運は「印綬」で、「殺印化格」という素晴らしい組合せになります。「殺印化格」の意味は、行動力が伴い責任感も強く、益々責任を遂行して地位・名誉が伴い、強大な権力と地位が得られるとあります。今回のブルージェイズとの第3戦、5対5の延長18回、前日完投後でもブルペンで準備をしたり、最終戦でのリリーフ緊急登板など、「オレがやる」という責任感とその重圧は、輪刑冲の状況ではあるでしょうが、それを跳ね除けて結果を出すのが「偏官/印綬」と云えそうです。今年の「寅巳申」の凶象をモロに受けているのは、国分太一氏、田久保真紀氏、小川晶氏など不祥事が露見した事例が挙げられます。しかし逆にバネにしているのは、山本選手だけではありません。ノーベル賞の坂口志文氏、高市政権での新任官房長官の木原稔氏、アメリカ財務長官のスコット・ベッセント氏など、苦労の中にも挑戦されている姿ではないでしょうか。

