no.159 辰震え 巳はくねくね 立ち上がる
辰震え 巳はくねくね 立ち上がる
2025年「乙巳(きのとみ)」を前に、陽明学者である安岡正篤氏著書の「干支の活学」から抜粋いたします。
「甲辰(きのえたつ)」でありました「甲」という字は、今まで寒さのために殻をかぶっておった草木の芽が、その殻を破って頭を出したという象形文字であります。(中略)支の「辰」は震と同じ意味で、易の六十四卦の震為雷(しんいらい)、即ち雷の卦を表すものであります。非常に騒がしい動揺がある。けれどももう一つ実がない。まかり間違えば、思いがけない変動・災禍を生ずる。それが「乙巳」になると、去年の甲辰で出した芽が、まだ外界の抵抗が強いために、真っ直ぐに伸びないで屈折しておる。乙という字は草木の芽が曲がりくねっておる象形文字であります。だから新しい改革創造の歩を進めるけれども、まだまだ外の抵抗力が強い。しかしいかなる抵抗があっても、どんな紆余曲折を経ても、それを進めてゆかねばならぬということであります。(中略)したがって乙巳という年は、いかに外界の抵抗力が強くとも、それに屈せずに、弾力的に、とにかく従来の因習的生活にケリをつけて、雄々しくやってゆくのだ、とこういう意味を表すわけです。(引用終)
また安岡先生によると、乙巳の年の史実では、前年に開戦した日露戦争に乙巳の通りケリをつけて終戦させ、もう少し遡っては、徳川家康が征夷大将軍となり天下の大勢にケリをつけ、秀忠を二代将軍に押し立て、徳川政権に新しい体制を進めたのが乙巳の年です。さらには、源頼朝が屋島、壇ノ浦に平家を滅ぼし、全国に守護・地頭を設置して、いわゆる鎌倉幕府の政治体制というものを確立しました。古くは、有名な大化の改新もやはり乙巳の年に行われています。とにかく乙巳は容易ならざる年であることを暗示しています。