no.35 首相辞任 流月戌で 刑動く
首相辞任 流月戌(いぬ)で 刑(けい)動く
凶象である「刑(けい)」には、「寅巳(とらみ)」の組合せのほかに「子卯(ねう)、丑戌(うしいぬ)、巳申(みさる)、戌未(いぬひつじ)」と「辰・午・酉・亥」の各自刑があります。この中の「戌未の刑」が作用したのが、イギリス史上最も短い、就任から44日で首相の座を辞したリズ・トラス英国首相です。9月下旬に打ち出した大規模減税策が金融市場を混乱させ、経済対策の大半が撤回に追い込まれ、支持率7%と記録的な低水準となり、辞任に追い込まれました。トラス氏の命式は、月柱の干支が「癸未(みずのとひつじ)」、日柱が「甲戌(きのえいぬ)」で、「戌未の刑」を命式内に持っており、辞任の月である流月(10月)の干支が「庚戌(かのえいぬ)」となり「戌未の刑」が作用した結果、辞任に至ったと思われます。この刑の作用は、恩を仇で返すという、人間関係の裏切りを意味しています。英フィナンシャル・タイムズ誌によると、トラス氏はコミュニケーションに不器用で、能力ではなく自分への忠誠心に基づいて内閣のメンバーを選んだと報じています。トラス氏の月柱通変は「劫財羊刃(ごうざいようじん)・帝旺(ていおう)」で、数回前に紹介した泉房穂明石市長と同じ形です。トラス氏も言葉に角があり闘争心強く、喧嘩口論を好む性格なのか、これが英誌で報じている「コミュニケーションに不器用」という点を指しています。またトラス氏にとっては、今年2022年の干支「壬寅」は通変に直すと「倒食(とうしょく)」という凶星に当たり、厄介事を引き受けたり、当てにしていた事の当てがはずれるなど、物事の進捗が停滞する時期周りとなっています。傲慢な権力の主張でうまくいった政治家はまずいない証左です